赤頭巾

赤頭巾。





山里はなれた家に隔離された哀れなばあさんの家に、体制を気にした赤頭巾は
仕方なく酷い仕打ちを受けたばあさんを案じる健気な娘を演じるため、見舞いにいくのであった。


とある集落。

赤頭巾「それではみなさん、いってまいります。」
村人「ああ、すまないねぇ赤頭巾。」
赤頭巾「いえ、これもおばあさまのため。苦労とも思いませんわ。」
村人「いやあ、なんて優しい娘なんだ。村の鏡だ。」
赤頭巾「いえ、そのようなこと。当然のことですわ。」
村人「この先の森には悪い狼が住んでいるからね、気をつけるんだよ赤頭巾。」
赤頭巾「ありがとう、おじさん。では、行ってまいりますわ。」
村人「ああ、気をつけていっといで。赤頭巾。」

道中

赤頭巾「ったく、何が「すまないねぇ、赤頭巾。」だよ。だったらテメーが行けっての、畜生め。
     しかし、少々やりすぎたな。荷物送るぐらいにとどめときゃよかった・・・。」


赤頭巾「っつーか遠いな、オイ。まあ、歩き始めてそんな時間たってねーが・・。
     ばあさんも何であんな山里に住むんだよ・・その所為でコッチが迷惑被ってるっつーの。
     連絡手段ねぇしよ・・・。まあ、心配といやー心配なんだが。」

花畑

赤頭巾「花か。・・まあ、ばーさんにゃこっちの顔も知られてるわけだからな。
     今更カマトトぶる必要もねーんだが・・・。まあ、一休みしていくか。」
オオカミ「やあ、先行くお嬢さん。どうしたんだね?こんなところで。」
赤頭巾「あぁん?・・・アラ、あなたはだぁれ?」
オオカミ「・・・(気のせいか?)わ、私は通りすがりのオオカミだよ。」
赤頭巾「まあ、オオカミですって!?」
オオカミ「まあまあ、そんじょそこらのケダモノと勘違いしないでくれたまえ。
    私はこれでも礼儀作法はわきまえてるつもりだよ。いきなり襲ったりはしない。」
赤頭巾「なら、今からだんだん襲うのね。」
オオカミ「え?や、やだなぁ。そんなことしないさ。」
赤頭巾「・・・そう。で、あなたは何をしているんですか?」
オオカミ「私?私はただ散歩をしていただけだよ。それより君は?」
赤頭巾「私はね、おばあさんの家にお見舞いにいくのよ。」
オオカミ「そうか、なら丁度いい。ここのお花を摘んでおばあさんに持っていててあげるといいよ!」
赤頭巾「それはいいわね。でも・・。」
オオカミ「どうしたんだい?」
赤頭巾「そんなことしたら、お花さんがかわいそうだわ。」
オオカミ「フフ、君のようなかわいい女の子に摘んでもらえる方がお花だってここでじっと咲いてるより
    幸せさ。」
赤頭巾「(・・・ウザッ。)・・・・・・そうね、じゃあ摘んでいくわ。」
オオカミ「そうするといいよ、きっとおばあさんも喜ぶよ。」
赤頭巾「それじゃあ、私もういくわ。」
オオカミ「ああ、さよなら!」
赤頭巾「さようなら。」

赤頭巾「・・・私のセリフのほうがウザイ・・か?」


森

オオカミ「ふう、久々の人間のエモノだよ。ワクワクするねぇ。この辺りで人が住んでいるといえば、
    あのばあさんの家ぐらいだ。きっとその知り合いの娘に違いない・・。
    そうと決まれば、先周りをしてばあさん釣りにして娘もゲット!フフ、なんて頭のいい作戦!
    あの、おとなしそうな娘相手なら問題ない!・・・・・よな?」


ばあさん宅


赤頭巾「おーい、ばーさーん。体制気にしてきてやったぞー。
     オーイ、折角来てやったんだ。茶の一杯でも出しやがれー。・・・・死んだかー。」
オオカミ「(な、なんだ?娘が来たかと思ったらなんか凄いのが来たぞ?折角ばあさんが留守で
    楽に忍びこめたというのに・・。姿を確認したいが、顔見せたら何されるか分からん・・
    し、しかしこのままでは・・。」
オオカミ「な・・なんだい。どうしたんだい?」
赤頭巾「あんだよ、いるんじゃねーか。天下の赤頭巾さんがやってきたんだ、ありがたくおもいな。」
オオカミ「ふぇえ!?(ヤベ、思わず声でた。あ、赤頭巾?花畑で会ったのも赤い頭巾してたたよな?
    ま、マジ?)あ、ありがとう・・ね。」
赤頭巾「・・・・・ほほう。」
オオカミ「ど、どうしたんだい?赤頭巾。(ヤベ、ばれた?)」
赤頭巾「ねえ、おばあさん。おばあさんはどうしてお耳が大きいの?」
オオカミ「(ヒィ!口調変わった!何か怖ァー!)え、あ、あの・・お、お前の声をよく聞くためだよ。」
赤頭巾「ふぅーん。じゃあねぇ。」
オオカミ「(ま、まだあるのかよ。)」
赤頭巾「おばあさんの口は、どうしてそんなに大きいのぉ?」
オオカミ「(や、やばい。何かしらんがやばい!こ・・こうなったら!ええいままよ!)
    お、おお、お前を食うためだあぁああぁぁっぁアア!」
赤頭巾「ソラキタ!ビンゴォオォォオオ!」
オオカミ「う、うわあああ!」
ガチィ!バシィ!
オオカミ「げ、両足が!」
グルグル・・キュ!
オオカミ「頭巾で全身の自由が奪われた!」
ッガ!
オオカミ「ヒィイ!」
赤頭巾「赤頭巾っつーのは、最近住むようになった村人から付けられた最近の通称でな・・。」
オオカミ「グム、グモモモ!」
赤頭巾「オレを餓鬼の頃からしってるばぁさんはな・・この頭巾が赤に染まる前のオレの通称・・。」
オオカミ「ガハ!・・ハァ、ハァ。」
赤頭巾「白頭巾と呼ぶんだよォ!」
オオカミ「た、互いの呼び名とは初歩的なミスを・・ッハ!そ、その頭巾が赤いのはまさか・・グッホ!」
赤頭巾「さぁ、ばあさんをどこにやった。」
オオカミ「ヒ、ヒィ!し、しらねえ、しらねえよ!」
赤頭巾「なるほど、この腹の中・・か。」
オオカミ「た、食べてない!食べてない!っつーかばーさんは留s・・ゲッビャ!」
赤頭巾「おチビちゃん!はさみと針と糸を持ってきて!」
おチビ「はい、分かりました!」
オオカミ「誰だよ、そのチビ!っていうか何この展開?」
赤頭巾「あとは・・そうねぇ、6つほど石が必要かしらぁ?」
オオカミ「ちょ、作品違いますって!私は小麦粉で体真っ白とかしてないでしょ?
    というかそもそも6匹も羊食べてないでしょ?お腹見てよ!膨らんでないでしょ?」
おチビ「はい、持ってきました!」
赤頭巾「中々早かったわね。上出来よ。」
オオカミ「イヤー止めて止めて!そんなグロいの誰も望んでない!」
赤頭巾「よくも、私の大事な子供を・・許さない!」
オオカミ「な、なになりきってるんですか!子供とかいないでしょ?ちょ、何でもしますから!」
赤頭巾「・・・・メス!」
オオカミ「イヤー!イヤー!本物は寝てる間にだったでしょ!もう一度考えなお・・アピャー!」

ガチャ

婆「なにやってんだい、あんたたち。」
赤頭巾「あら、ばあさん。久しぶりね。」
オオカミ「イヤー!ホンマに少しきりやがった、この娘ー!」
赤頭巾「うるさいわね、あなたが暴れるからよ。」
婆「わざわざよくきたのぉ、赤頭巾。」
オオカミ「あれ?白頭巾設定は?」
赤頭巾「うるさい。」

ビュ!

オオカミ「ギャー!致死量!致死量!」
婆「なんだい、今日はオオカミ鍋でもしてくれるのかい。悪いねえ。」
赤頭巾「でも、まずそうよ。」
オオカミ「ちょ、何を!」
赤頭巾「あ、ばあさん。コレ。」
婆「あら、花かい?めずらしいのぉ、お前が花なんて。」
赤頭巾「フン、あのオオカミにそそのかされただけよ。くだらない。」
婆「そうかい、ありがとね、オオカミさん。」
オオカミ「いや!そんな礼とか本当にいいですから、開放してください!」
婆「お礼に怪我を治してあげましょう。」
赤頭巾「怪我・・というレベルを超えてるけどね。」
オオカミ「分かってんじゃねーか赤頭巾、手前!治すとかいうレベルじゃねーぞ!」
婆「あらあら、コレは結構深いわ・・。」
赤頭巾「針と糸ならここに。」
オオカミ「うわ!何の伏線だよコレ!いや、無理だって!無理だって!」
赤頭巾「では、ただいまよりオオカミの手術を行います。」
婆「・・・・メス。」
オオカミ「やーめてくれーぇぇエェェェェェエエエエ!!!」





ゆるーく終わり






【あとがき】
唐突に書きたくなって勢いで書いた。
反省はしてない。
最後の方、オチを見失って半端な終わり方したのが少し心残り。
またこういう衝動に駆られたら書きます。
最後までばあさんのキャラ付けができなかった。サルレター吉秋でした。
赤頭巾もキャラ後半変わってるきもしなくもないですが。




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